この所非常に忙しい日々が続いて、一体この忙しさはいつまで続くのだろうかと、ぼーっと通勤しながら考える事がある。
芦田屋が始まってもうすぐ2年が経過する。
この芦田屋は店主にとって整備士としての極みを求めた形になるのだが、そこには表に出てこない膨大な紆余曲折がある訳ですが、それはどんな仕事だとしても同じことなので、整備士だからどうだという事もないのですが、個人的な極みとしては紆余曲折を大きくしてしまった感が否めません。
この2年間、純粋に騙しのない仕事(自分にも、お客さんにとっても)をやり続けて、為替や、時代の流れ、景気の動向など無視して良質な作業、良質な対応、安価な価格を心掛けて参りました。
それは当初思っていた以上に、やはり大変な事でした。
儲ける気が無いというとそれまでですが、儲けがないという事はお客さんにとっては良質な店なわけで、安かろう良かろうの店がこの世にあればそれは一種のモデルケースとして稀有な物であると思っている節があります。
経営者的感覚で行くとこれ論外なのですが、まぁ幸い店主は身が軽い物で・・・。
無茶苦茶な事をやっています。
ただ、これは以前も書いたことがあるのですが、店主の幸福論は少々ずれている様でして。
確信に至ったのは芦田屋を初めて直ぐです。
店主はお金があまり欲しいと思わない。 仕事に纏わること以外で、ワンコインの飯を食う以外に必要としていない。 服も毎日同じで良い、車も何とか動いている15万キロのトラックで良い。 ご飯は消費期限過ぎても気にしない。 靴下も穴が開いているが気にしない。 下着のシャツは5百円3枚で買った物を5年来ている。 寝巻は中学生から変わっていない。
唯一欲しい物は、心を揺さぶる古本の小説、1冊200円で1カ月楽しめる。 欲を言えば、公園で晴れた日にベンチに寝っ転がって小説を読みたい。 それだけである。
あとは誰かが店主の仕事で嬉しそうに笑ってくれるとそれが全ての結果でOK。
本当はお金は払って欲しくない、その方がお客さんもバイクに長く乗れると思う。
でもお金がないと家賃が払えないので仕方がない、それは助けてもらいたい。 それだけである。
そんなスタンスで経営してるもんで、いつもギリギリの低空飛行でよくまぁやってけてるもんだなぁと自分で感心したりします。(笑)
でもまぁ、一つこういう形を作っておきたかった。
会社員としての整備士はずっと変わらないスタンスで続ける事は難しい一面があります。
事情は色々だとしても、店主みたいな経営に向いていない整備士でも、真っ直ぐに実直にやっていれば、独立も一応できるから。
もし、どこにも行き場がなくて、もうこれ以上頑張れない、もうこれ以上は支えきれない、
どうにもならなくなった時には、独立するのもアリなのだよと。
だから、ずっと整備士辞める必要は無いよと。
そんなこんなで不器用な職人さんが良きれるモデルケースを作る事2年。
まぁまぁ、こんなスタイルのバイク屋さんもこの時代に出来上がってきました。
金儲けする気はないですが、バイクいじる気は満々です。
金儲けも、食事も、トイレも全部めんどくさいから興味ないですが、バイクいじりだけやる気あります。 別に有名店にならなくてもいい、巨匠と言われる必要もないと思う、ブームも気にしなくていい、神様みたいに棚の上に登らなくていい。
初めからそんな事気にしなくていい。 素朴なままで、やりたい事を思い切ってやればいい。
ただ、一つ継続できる条件があります。
誰にも負けない位輝かしい腕の見せ所を一つ磨き続けないと成立しないという事。
それだけは絶対に誰にも負けない、それを求めてお客さんが集まる。 それがないと、この話は全て水泡に帰します。
この話で誤解が出るとすれば、バイクショップはやる気がなくても経営できるよ、簡単だよと言いたいのではない。 金儲けする気がないのに、経営が破綻しないのは、逆に矛盾を突破していてとんでもない事である。 逆に難易度が高いのだよと言いたいところを注記しておきたい。 だから面白いよと言いたいところである。
そんなモデルケース活動も、2年目を越えて、次のステージへ進みつつあります。
こういう事は出来るかな?と思いつつ、できると思ったらやらないと気が済まない。
前代未聞の新しい形がお見せできるかもしれません。 でもあまり期待しないで下さい、余りやる気はないので。
杉並区に広大な緑に囲まれたとても大きな神社があるのをご存じですか? 知らないことって実は良い事なんですよね。 知らないから事が始まるんですよ。