仕事用の靴を買いに行った時のお話。
ついこの前までは作業用の靴はブーツと決まったおりましたが、どうも最近は歳のせいか、ブーツで一日過ごすのが辛くなってきた感がありまして。
どうも膝や腰に負担が強いような気もしておりまして、スニーカーへ変更した経緯がございます。
犬の散歩などをしておりましても、我が家のいぬっこは、惜しげもなく全力疾走するものですから、こちらも負けじと全力疾走するのですね。
そうしますと膝や股関節からこれまで感じたことも無いような軋むような痛みを感じるようになりまして。 これは何と言いますか、経年劣化しておるんですね。
関節が、靭帯が悲鳴を上げております次第で、どうにも筋力だけでは解決できない由々しき問題です。
そんなこんなで、靴をスニーカーに変更しましてからは、随分と関節も楽になったような気が致します。
前置きが長くなりましたが、そんなような事情にて某靴量販店に行きまして。
無論店主なんぞは流行などどこ吹く風、何が欲しい、メーカーがどうとかどうでも良い話でありまして、とりあえず今持っている物と同等の物が欲しいと思った次第です。
お店に着くなり、同じ系統の売り場へ参りまして、おもむろに似たものを手に取り、これの27センチが欲しいと、店員さんへ申し上げたのでございます。
お若いお兄さんの店員さん、学力テストは良さそうな人間味を感じない、温度を感じさせないけど浮気はちゃっかりするタイプの店主の嫌いなタイプ。おくびにも出さないですが。
「この商品は26.5しかないですね」
以上。
「ちょっと試しても良いですかね?」
「えぇ、はい」
「う、これは入らんですな、小さい、同じ型の色違いは27センチ無いですかね?」
「それが入らないなら27センチも入らないっすね」
「ん? ははあ、、なるほどそういうもんですか?」
ここで店主は待ったのであります。
何がでるのかと、”同系統の仕様ならこういう物がありますね”、”違うメーカーならこのラインナップがお勧めですかね”、”ちょっと値段は張りますが、ここは僕のおすすめを持ってきます”。
何でもいい、勧めれば間違いなく買うイージーなお客だぞ、さぁこい、準備は出来ている。
気概さえ感じれば気に入った!5万出そうというタイプのイージーなオッサンだ。
若者は何も言わなかった「ただの屍の様だ」。
売るのが面倒なら辞めれば良いし、辞めたら生活がというなら売るしかなかろう。
売らない、だけど給料は欲しいは言語道断だ馬鹿もんが。
と、昔の店主なら思いっきりビンタして首根っこ掴んで裏へ連れて行って膝蹴りするくらいムカつきましたが、グググっと堪えてこう言い放ちました。
「まぁ、それじゃあ諦めますわ」
「ほい」(はい)
ハイがホイになっとるがな。 ちゃんと喋れ。
そんなこんなで結局近くにいた別の女性の店員からナイキを購入しましたが。
こちらは明るく朗らかな対応。 だがしかし、外面じゃだめだ、おじさんは商売の気概を見たい。
「お嬢さんこれ買うよ、箱は要らないから靴だけでいいよ」
「あ、分かりました!保証返品できなくなりますが良いですか?」
「ははぁ、分かりました」
「お品物です、ありがとうございました!」
「・・・・。」
これもう明らかに靴が箱に入っとるがな。 3秒前や、3秒前に言うたやんか。 俺の話聞いてないやん、付き合ってないのに付き合ってる事になっているみたいになってるやんか。
「スニーカー洗濯用にこのスプレー如何ですか?」
「ははぁ、なるほど、こういうのねぇ、いやこれは要らないかな、では失敬。」
まぁ、そう言いながらも、帰りの車で昔の自分を思い出して苦笑いの店主でした。